<瀬戸(藤枝)に伝わる大蛇伝説>

昔、瀬戸(藤枝)の地には、周囲3〜40kmの大池があって、池には人の気持ちや言葉を解する神通力を持つ年を経た大蛇が棲んでいた。御白河天皇の頃(1160〜90)、この大蛇が空腹になると周囲に現れて田畑を荒らし、人畜に危害を加えて住民を苦しめていた。こうした折、密教の高層宇蛇上人が東国に旅を重ねてこの地を訪れたので、村人は上人に大蛇退散を願った。上人はこれを請けて、筑前博多から智証大師作の不動明王を迎請して、池の東山に大護摩壇を築いて不動尊を安置し、その周囲に木の枝を山と積ませて、大神火を七昼夜燃やし密法水相観の祈祷を行った。
火の嫌いな大蛇は、この大神火を恐れて池の底に潜伏していたが空気のない苦しさからもだえ苦しんで水上に現れ、北方の谷稲葉山間に消えた。村人は上人に深く感謝し、不動尊を池端の草庵(天地山万福寺)に安置し、信仰を重ねて来た。